2008
現代版設定のアクト+シンです。アキは出てきませんが、アクト→アキ。
アキとは付き合っておらず、アクトの片想い状態。恋愛色は極小です。
捏造満載、というより、捏造オンリーですので、苦手な方はご注意を。
おおまかな現代設定は下の『現代設定』の記事をご参照ください。
OK!という剛毅な方は続きからどうぞ。
【だから情熱は苦手】
深夜というよりは、早朝に近い時間帯。
都心にある所謂色街といわれる一角。植木の陰に隠れるような細い階段を降りた先に、その店はある。
『Bar.白翼』
普段は隠れ家的な店として人気の店も、今は営業時間外。その店内にはふたりの男しかいなかった。
「ねぇねぇ、アクトー」
「・・・・・・」
「さっきの黒いスーツのお姉さん。誘われたんでしょ?綺麗だったじゃーん。何で断っちゃったのさ」
「・・・口より手動かしてくださいよ」
一向に片付かない食器を見やって、アクトはじろりとこの店の雇われオーナーであるシンを睨む。
その視線に、『おぉ、怖い』と肩を竦めて見たものの、シンの口元には変わらず笑みが浮かんでいる。
「あぁいうタイプ好みじゃなかったっけ?」
一応手は動かしながらも、口は止まらないらしいシンの言葉に、営業中に誘いをかけてきた女の顔を思い返す。
髪は肩先でふわりと巻かれており、瞳はきつそうだったがその中には甘い媚が浮かんでいて。黒いスーツは隙なく着こなされていたが、スタイルのよさが逆に色気を醸し出していた。
好みじゃないかと言われれば、がっつり好みだ。一夜の遊びの相手としたら、申し分ないというか、おつりがきそうだった。
「あ~、アキちゃんいるからかぁ。って言っても、まだ片想いだったよね、確か」
「・・・少しは黙って仕事できないんですか」
「全く、心配してあげてるのに、冷たいなぁ」
「心配?楽しんでるの間違いでしょう。上のクラブのママと酒の肴にしてるの、俺が知らないとでも?」
「あ?ばれてた?」
悪びれなく笑うシンを横目に、アキトはもくもくとグラスを磨く。
全くやっかいな相手に知られてしまった。ばれてしまった時のことを思い出すと、今でも頭を抱えたくなる。はっきり言って予想外だったのだ。というより、アキに惚れることすら、完全に想定外だった。
アクトの元々の好みのタイプは、それこそ今日誘いをかけてきたような色気のあるお姉さまタイプだったはずだ。
それが、色気なんか全くない、自分より年下の高校生に片想いなんて、全くもって笑えない。
だけど、今日誘いを受けた時も脳裏に浮かんだのは、あの幼い笑顔だった。
「あらやだ、溜息。誰のこと考えてたのかな~」
「・・・想像通りですよ」
素直なアクトに、驚いたというように目を瞬かせたあと、シンはふっと笑みを零した。
「手ごわそうだもんね。周りはもちろん、本人も」
「・・・・・・」
沈黙は肯定。
一度だけ会ったことのあるアクトの想い人は、無邪気な顔で同級生のアプローチも、アクトの不器用な誘いもスルーしていた。
天然が一番やっかいなんだよね。
決して少なくはない恋愛遍歴を思い浮かべて、シンはアクトに同情に近い想いを抱く。
なにより一番やっかいなのは、本気だということ。
本気は熱を持ち、理性を、自分を溶かしてしまうから。
今日のことだって、アキに出会う前のアクトだったら誘いに乗っていただろう。付き合っている彼女がいようがいまいが、一夜の遊びならかまわないと、迷いもしなかったに違いない。
だけどほら、今のアクトは片想いだというのに、脳裏にまで彼女が染み付いて行動理念でさえ変えられている。
「まぁ、頑張れ。若人」
年寄りくさ、と吐き捨てたアクトに、シンは鷹揚に微笑んだ。
アクトの身体にくすぶる熱を想って。
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読み返すと、何が書きたかったのかと自分に問い返したい1本に。
アクトが悶々としてるのを書きたかったんですけど、敬語のせいかアクトが別人・・・。
現代版はそれほどクラトとも仲悪くないみたいだし、それほど擦れてはいないかなぁと。
口調はきつくても、意外と礼儀は重んじるタイプで目上の人には一応敬語を使うイメージがあるんです。
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主人公至上主義でつっぱしります。
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