2009
ED未読の方はご注意を。
OKという方は続きからどうぞ。
「大分背が伸びたわね、シン」
「当たり前だろ。もう18だぜ、俺」
【僕に開いてよ(エメラルド)】
そうね、と微笑むアキの背丈は俺の胸元までしかない。
出会った頃は、俺のほうが少し高いくらいだった。
「どんどん『シンさん』に近づいてきてるみたい」
―シンさん―。アキは大人の俺に会ったことがあるという。
アキとカスガから何度となく話は聞いたのだけれど、いまいちピンとこないというか、信憑性に欠ける。
だってそうだろう?未来の俺とカスガが来ていて、今いるカスガは未来のカスガだなんてさ。
だけど、なんとなくそれを受け入れている俺もいる。
アキが嘘をつけるタイプじゃないってことと、『大人』のカスガは俺の知ってるカスガを確かに持っていたからだ。
「なぁ、大人な俺ってどんな感じだった?」
「えーっと、そうね。すごく口が上手くて女の人にもててたわ」
「…なんかあんまりいい印象じゃないね…」
俺とは違う人物、と思っていても、他でもない彼女の口から聞くと、何だかがっくりくる。
落ち込んだ俺を見て、アキが口元を綻ばせて、でもねと続けた。
「すごく優しい人よ。自分よりも他人を大事にしちゃう。そんな人」
柔らかい声で、宝物をいとおしむ様に口にする。
『シンさん』のことを話すとき、アキはいつもそんな音を出す。
ふぅっと遠くを見て、何かを大事に包み込むように話す。
そんなアキに、俺はいつも聞きたくて仕方がないことがある。
―ねぇ、アキ。アキは『シンさん』のこと、好きだった?
きっと、大人の俺は、アキのことを好きだった。
これは想像じゃなく、確信。
だって、俺だったなら。
違うところはあっても、俺という人格だったなら、アキを好きにならずにいられるはずがない。
絶望という川の底から引き上げてくれたのは、まぎれもなく彼女だった。純粋な優しさを惜しみもなく与え、癒してくれた。
「ねぇ、アキ」
「なに?」
本当は答えを知っている。
大人の俺じゃなく、カスガと共にいることがその答え。
だから、俺はその問いを口には出せない。答えを聞きたくないから。
「隙あり!」
唇に限りなく近い頬に口付ける。
きょとんとしたアキの顔が、見る見る赤くなっていく。そんな様をかわいいと思う。
世界で一番綺麗で可愛い。
「シンー!」
怒って振り上げたこぶしが届かない距離まで逃げる。
本気で怒っていないのはわかってるんだ。
アキの中で俺は、まだ男じゃなくて。
それはとてももどかしくて悔しいけれど、だけど気安い距離感をくれる。こうして触れられる距離に、アキの笑顔がある。
今はそれで満足しよう。
アキの隣にいるのが、俺じゃなくてカスガだというのにはまだ納得いかないけれど、そんなもんこれから変えてみせる。
「アキ!」
「なによ!」
怒りながらも、ちゃんと返事をしてくれる。
可愛い、可愛い、俺の大事な人。
「超大好き!」
赤くなる頬にもう少し夢を抱かせて。
その先にある未来が、俺にも希望の光があると、どうかもう少し。
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EDに萌えました。
でも、子供バージョンではカスガの方が好みだった。シンも可愛いんだけど、どうも声とあっていないような気がして・・・。
ついでに子供シンの口調がわからず何だか偽者ちっくな感じに・・・。
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主人公至上主義でつっぱしります。
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