2008
拍手もたくさんいただきありがとうございます。
今日から仕事が続くので、更新が少し止まるかもしれません。とはいっても、思いついたら書かずにはいられないんでしょうけど。
今回はまたタカミくん。口調も一人称もわからないのに、よく書くよと我ながら思います。制約がない分書きやすいというのもあるのかもしれません。黒が発売されて全然違ったら、それはそれで笑えますが。
今回の話はタカミくんがちょっと酷い人です。アキは登場しません。
相変わらず捏造100%ですが、それでもよろしい方のみ続きからどうぞ。
「どういうつもりだ」
親衛隊はタカマハラの王立警備隊と違い、隊員たちの会話は乏しい。必要時以外の会話はしないと言った方が正しい。特に、このカスガ・キセナという男は親衛隊の中でも無口な部類に入り、会議でも返答以外は口を開かない。
そんな男が声をかけてきたことに、タカミは一瞬大きく目をまばたいたあと、にやりと口角を引き上げた。
「何?あんたが声をかけてくるなんてめずらしいじゃん」
「どういうつもりで、アキ・ミヤズにちょっかいをかけている」
めずらしく声をかけてきたと思えば、なるほど。アキのことだったか、とタカミは先ほどと同じように、口元だけで笑う。
「あんたには関係ないだろ」
挑発するように、底意地の悪い笑みを向ければ、カスガはむっとしたように眉を寄せた。
「しかしアキ・ミヤズは困惑している。警護に行く度、お前に対しての愚痴ばかり聞かされるこちらの身にもなれ」
「へぇ~」
ぞくぞく、と体の奥から湧き上がる感情に突き動かされて、今度は自然と笑みが浮かんだ。
それを見たカスガはどんな風に感じたのだろう。好意的に解釈したのではない、というのだけはタカミにもはっきりとわかった。カスガの眉間にはがっちりと皺が寄り、その口から紡がれた言葉も普段より一段低いものだったから。
「好きではないのだろう?戯れに惑わせるな」
それだけ言うと、話は終わったとばかりに、さっさと扉の向こうへ姿を消した。
「戯れ、ねぇ」
カスガの気配が消えた扉の向こうを眺めながら、ポツリと呟く。
確かに戯れかもしれない。返って来る反応の想像がつかなくて、ついかまってしまう。
誰からも愛されてきたであろう少女。当たり前のように誰にでも慈愛を振りまくその姿に、妙な苛立ちと残虐な自分が顔を覗かせるんだ。
好きじゃないよ、惚れてなんかいない。
だけどさ、アキ。俺はあんたに愛されてみたいんだよ。
誰にでも平等に向けられるその笑顔が。その愛情が。
俺だけに向けられたらどんな気分だろうって、想像するだけでゾクゾクするんだ。
これは、ゲームだ。
困っているんだろう、アキ。
あんたは馬鹿だけど、愚かじゃないから。
俺の本音が見えなくて、だけど突き放すなんてことはできないあんただから。
ゲームだよ、アキ。
俺が勝つか、あんたが勝つか。
俺があんたを堕とすのが先か。
あんたが俺を溶かすのが先か。
あんたの知らないところで、すでにスタートは切られてる。
さぁ、後はゴールに向けて走るだけ。
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だけど、本当は溶かされたいと願ってる。
「ラプンツェルの泪」
ラプンツェルの涙が王子の目に当たって、王子は失った視力を回復したそうです。(お題やTV様からの受け売り)
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主人公至上主義でつっぱしります。
妄想癖はありますが、発想が貧困なのでリクエストいただければ嬉しいです。(リクエストや感想は拍手やコメントでお願いします)
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